従来からある慣行栽培は、食糧不足の時代に作られた深耕・多肥・密植・多農薬を特徴とした技術で、イネの生長生理と気候をあまり考慮に入れずにカレンダーを目安に行う稲作でした。
しかし「薄井流:疎植水中栽培」は、福島県で農業を営む薄井勝利氏が50年以上にわたり研究を進めている安全・安心・良食味・多収を実現した画期的な稲作栽培技術です。
イネの生長生理を基礎に光合成能力を高め、イネと水田が本来持っている能力をフルに活用しながら、健全で多収なイネを育てるという栽培方法です。
慣行栽培では苗の植え付け間隔を30×15cm(坪当たり60〜70株)とするのに対し、「薄井流疎植水中栽培」では30×30cm (坪当たり33〜50株)と疎植することにより、下葉も含めた全葉の光合成を活発にします。
また慣行栽培では5cm程度の浅水であるのに対し、「薄井流疎植水中栽培」では20〜30cmの超深水とします。これは水圧のストレスによって苗は太茎になり、倒伏しにくく、大きな穂をつけることが可能になります。
イネの生長生理に合わせた理想的な薄井流疎植水中栽培は、農薬を極力使うことなく(現在は除草剤1回のみ)、安全・安心・良食味・多収を実現します。
1.土つくり
- 有機肥料で土を肥やす。
- 多量要素を土壌改良材で補う。

2.育苗(強健苗を作る)
- 系統のはっきりした種籾を選ぶ。
- 良質な栄養分の多い重い種籾を選ぶ。
- 温湯消毒を行う。
- 床土をPH4.0〜5.0の強酸性にし、土中の水分も50%を目安にする。
- 播種は超薄蒔きにし、水分節約型の組織構造を目指す。
- 畑苗代ハウス方式で育苗し、最高32℃〜最低10℃内で管理する。
- 出芽が70%前後になったところで、ベニア板の上から同方向に芽踏みする。
- 不完全葉期にはケイサンやミネラル、光合成細菌などを潅水施肥する。
- 苗代ハウス内の温度を安定させるために、換気は早朝に行う。
- ポット成苗では3.0葉期に1回、同方向から苗踏みを行う。
- 不適切な温度や水分などの管理による異常徒



3.本田
- 30cmの深水には、高さ40cmの畦が必要。
- 耕起前には全肥料の60〜70%を元肥として施す。
- 初年度より3年間は、肥料体系を維持する。
- 代掻きの1週間後には、坪当たり33株の疎植をする。

4.生育初期
- 田植え2〜3日後に苗の完全活着を確認してから30cmの深水を実施。
- 水温・地温を安定させるため、畦畔からの漏水を最小限に抑える。
- 光合成を活発化させるため、光合成細菌を散布する。
- 深水管理の状態で中期除草剤を1回使用する。

5.生育中期
- 深水管理による水圧ストレスのため、太茎苗をつくる。
- 栄養生長と生殖生長の分岐点である茎数限定期に落水する。※茎数限定期=各品種特有の総葉数−5葉
- 直下根及び斜め直下根の伸長を促すため、茎肥を施す。
- 茎数限定期(−40日前)には以下の3つの条件をチェックし、施肥量を決定する。
- 草丈
- 茎数
- 茎幅
- −30日前に穂肥を施す。
- 作溝と用水により、上根の伸長を促す。
- 光合成細菌とニガリを与え、登熟に関与する成分の生成および供給を促す。
- ニカメイチュウ被害が予想される場合は、20cmの深水を実施する。


6.生育後期
- 実肥を施す。
- イネフラボノイド、ミネラル、光合成細菌などの希釈液を葉面散布する。
- 食味を多くするために味肥を施す。
- 溝水を上根層より下げて土壌の酸性を保ち、食味をあげるための肥効を高める。
- 登熟期には光合成が活発に行われることが重要。

7.収穫期
- 登熟期の姿は四方八方に穂が垂れるので、下葉まで光が届き、登熟度を高める。
- 収量構成要素では穂数・粒数だけではなく、登熟歩合・千粒重も重視する。





